免疫療法の有効性評価および転移に関する研究:このモデルは移植片の定着に対して非常に寛容である

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2021年11月24日

ヒト免疫系(HIS)を再構築した免疫不全マウスは、がん研究に革命をもたらし、前臨床試験における免疫療法の評価に最適なモデルとなっています。 従来のマウス異種移植モデルと比較して、HISマウスには、より多様な患者由来の腫瘍を培養できることや、ヒトの腫瘍と免疫系の相互作用を調査できることなど、いくつかの利点がある。しかし、利用可能な再構成HISマウスの種類が増えているにもかかわらず、がん治療の標準治療を決定することは依然として複雑であり、臨床で観察される抗腫瘍免疫応答の異質性を真に再現する、信頼性の高い前臨床HISモデルの必要性が急務となっている。

例えば、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者のうち、抗PD-1および抗CTLA-4免疫療法に反応するのはごく一部であるという証拠が蓄積されていることから、 Tentlerらは、TNBC細胞株の異種移植片(CDX)を移植した免疫不全再構成BRGS-HISマウスを用いて、新規β-カテニンモジュレーターがこれら両方のチェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果を増強する能力について検討した。1カパッソらは、同じモデルを用いて、TNBC CDXおよび患者由来の大腸がん異種移植片(PDX)に対する抗PD-1療法の抗腫瘍効果を調査した。2興味深いことに、両グループとも、BRGS-HISマウスにおいて、ヒトの臨床試験での観察結果と一致する、腫瘍特異的かつ再現性のある反応が認められることを確認した(図1)。

Img01-移植片

Fig. 1) Efficient engraftment of tumor cells for immunotherapy efficacy assessment in BRGS-HIS. A) Anti-PD-1 treatment, nivolumab, has an efficient anti-tumor effect on MDA-MB-231 tumors in reconstituted mice (left), but not in the immunodeficient recipient (right). Immunophenotyping of tumor infiltrates from individual BRGS-HIS mouse untreated (−, black) or treated with nivolumab (+, blue) for 11 or 21 days showed an increase in human T cell (B) and CD8 T cells (C) at D21 upon treatment. An increase in Treg over time was observed in untreated tumors, but abolished in treated mice (D). P-values: *< 0.05, **<0.01. Adapted from Capasso et al. J. immunotherapy cancer 7, 37 (2019).

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これらのマウスのもう一つの重要な利点は、腫瘍、腫瘍微小環境(TME)、およびヒトの免疫系間の動的な相互作用を再現できる点にある。これは、臨床応用において、免疫療法の潜在的な耐性や副作用を研究・予測し、克服するために極めて重要である。 2021年、Marín-Jiménezらは、多種多様な腫瘍(例えば、乳がん、副腎皮質がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、黒色腫、血液悪性腫瘍など)を移植し、チェックポイント阻害療法および/またはその他の免疫療法を施した再構成BRGS-HISマウスにおける免疫浸潤を調査した。 重要なことに、彼らは、移植されたHISマウスの腫瘍微小環境(TME)が腫瘍の種類や併用療法によって異なり、ヒトで観察される現象を反映していることを実証した。³さらに、 BRGS-HISマウスが、免疫浸潤の観点からTMEを再現していることを明らかにした。これは、以前同じモデルを用いて観察された結果と類似している。4これらの知見を総合すると、BRGS-HISモデルは、TMEの複雑性と不均一性、および薬物治療中のその変化を研究するための信頼性の高いツールであることが示唆される。

最後に、BRGS-HISマウスは転移の発生を研究するために有効に活用された。 2018年、Gammelgaardらは、BRGS-HISマウスにおいて、(NSG-HIS動物で報告されているものとは異なり)ほぼ同期して増殖する原発腫瘍が一貫して発生し、自然転移を形成し(図2A-B)、患者と同様に、免疫細胞およびがん細胞によるTregの動員やPDL1の発現といった免疫回避メカニズム(図2C)を示すことを実証した。4

Img02-移植片


Fig. 2) Metastases development in BRGS-HIS upon CDX engraftment. Primary tumors from A375 consistently yielded multiple large liver and lung metastases (A, left panel), which was occasionally observed with MDA-MB-231 primary tumors (right panel). Tumors derived from the A375 were largely immune-cell-excluding, whereas tumors derived from the MDA-MB-231 cell line were highly infiltrated by human T cells (B, top). Lung metastases from A375 and MDA-MB-231 were significantly more densely infiltrated by CD45+ (B, bottom left), CD3+ (not shown) and CD8+ (B, bottom right) cells than matched primary tumors, liver metastases and recurrent tumors. MDA-MB-231 tumors presented high-density Treg infiltration (FoxP3+), but were absent in healthy parenchyma (C, top). MDA-MB-231 metastases contained higher numbers of PD-L1+ cells than cancer cells, indicating PD-L1+ immune cell recruitment (C, bottom). P-values: *< 0.05, **<0.01, ****<0.0001. Adapted from Gammelgaard et al. Mol Oncol 12, 1797–1810 (2018).

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全体として、これらの結果は、BRGS-HISマウスを使用することで、独自の臨床検体に由来する腫瘍に対して、複数の免疫関連治療薬を迅速に試験できることを示している。さらに、このモデルは、異なるがん細胞や治療法を用いて腫瘍の免疫原性の変化を評価したり、臨床試験に先立ち、複数のマウスからのデータを用いてヒトの免疫応答に対するそれらの影響を分析したりするのに最適である。 興味深いことに、別の研究でも、この同じ前臨床モデルに患者と一致する腫瘍を移植した場合、すなわち患者のアバターとして用いた場合、免疫療法の治療効果を予測するツールとして利用できることが示されている。5

これらのさまざまな研究結果を総合すると、BRGS-HISモデルおよびその改良版であるBRGSF-HISモデルは、生着に対して非常に寛容であり、したがって、免疫療法に対するヒトの免疫反応を研究・予測するための最適なモデルであることが示されている in vivo。

BRGSF-HISマウスは、免疫腫瘍学、代謝、心血管疾患、神経科学など、さまざまな研究分野における複数の前臨床モデルを設計・提供しているgenOwayから入手可能です。

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参考文献:

  1. Tentler, J. J. ほか. 新規β-カテニンモジュレーターであるRX-5902は、トリプルネガティブ乳がんの前臨床モデルにおいて、免疫チェックポイント阻害剤の有効性を増強する。BMC Cancer20, 1063 (2020).
  2. Capasso, A. et al. 腫瘍異種移植片を移植した造血系ヒト化マウスにおける抗PD-1単剤および併用免疫療法に対する免疫応答の特性評価。J. immunotherapy cancer7, 37 (2019).
  3. Marín-Jiménez, J. A. ほか. ヒト免疫系マウスモデルを用いたがん免疫療法の検証:治療反応とヒトキメラ性、治療変数、および免疫細胞の表現型との相関.Front. Immunol.12, 607282 (2021).
  4. Gammelgaard, O. L., Terp, M. G., Preiss, B. & Ditzel, H. J. マウスにおけるヒト免疫系を背景としたヒトがんの進化。Mol Oncol12, 1797–1810 (2018).
  5. Lang J、Capasso A、Jordan KR、French JD、Kar A、Bagby SM、Barbee J、Yacob BW、Head LS、Tompkins KD、Freed BM、Somerset H、Clark TJ、Pitts TM、Messersmith WA、Eckhardt SG、Wierman ME、Leong S、 キセルジャク=ヴァシリャデス K. 腫瘍微小環境に対する抗PD-1抗体の作用を解析するための副腎皮質がんヒト化マウスモデルの開発。J Clin Endocrinol Metab. 2020年1月1日;105(1):26–42.

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